法学 時間外労働の規制と残業義務について

 時間外労働の規制と残業義務について
1 時間外労働
 労働は、一般に時間に拘束されて賃金が支払われる。したがって、労働時間以外の余暇は自由に娯楽・教養あるいは創造欲の満足を求め、自己の生活を確立している。労働者の余暇を保障することは重要なことであって、労働時間を規制する根拠となる。


《 時間外労働は強制と補償の両面があり常に労働争議の対象です 》

 時間外労働は、使用者が法律の定める1日8時間または1週40時間を超えて労働させ、あるいは4週につき4日与えなければならないとされる休日に労働させることを指す。労働基準法上、時間外労働の規制は労働者の年齢・性別によって異なり、また、時間外労働の原因、つまり非常事由によるか労使協定によるかなどにより異なる。その労働の結果、使用者は所定労働時間当たり、最低2割5分加算した賃金の支払いが義務づけられる。

2 女子の制限 
 女子の時間外労働について労働法は工業的業務について1週6時間、年間150時間。非工業的業務については36協定であっても4週を単位として週6時間以上12時間、年間150時間以上300時間の範囲としている。非工業的事業のうち、保健衛生および旅館・飲食店等の事業については、2週間について12時間、1年について150時間以上の時間外労働が規制される。
 労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者または専門的な知識若しくは技術を必要とする業務に従事する者は、適用されない。
 また、妊婦および産後1年を経過しない女性は時間外労働が禁止される。深夜労働に関しては原則として禁止されている。ただし、1985年の改正により、指揮命令者のおよび専門業務従事者は深夜業は男性と同一となり、深夜業の適用除外は拡大された。
 18歳未満の年少者については、次の3に記す非常事由および公務に基づく場合を除いて、時間外労働をさせることはできない。

3 年少者の制限 
 非常事由の場合はその期間中、年少者・女子の時間外労働の制限、深夜業の制限はともに解除され、使用者はすべての時間を労働させても労基法違反の責めを受けることはない。非常事由の典型は水害・火災・地震などの自然災害である。自然災害以外に急病人の搬送、応急措置などの人命保護、あるいは爆発・破裂など緊急事故による公益保護も含まれる。
 時間外労働が公務の臨時の必要に基づくものであって、行政官庁が職員に行わせる場合は、労基法は事前の許可または届出などいかなる手続きも要求しない。公務員の労働の要件は国家及び地方公務員法に規律されるが、公営企業等は民間企業と同様となる。

4 三六協定
 時間外労働は最も頻繁には「忙しい」という理由で行われる。要するに、使用者が法定時間の範囲で間に合わない量の労働を割り当てる場合である。このような時間外労働は労使協定の要件に従い、必要とする理由・業務の種類・労働者の数・期間などを協定し、労働基準監督署に届出なければならない。この労働協定を通常、労基法の条文番号から名付け三六協定という。この三六協定が協約形式で締結されていれば、期間を協定する必要はないとされている。
 以上のように、時間外労働は非常事由、公務あるいは三六協定で行う場合、年少者・女子を除いて、上限を定める法規制は存在しない。そこで、監督官庁は行政指導として、1週を単位とする場合は15時間、1か月は50時間、年間を単位とする場合は450時間と定めている。しかし、休日労働は含めないことや忙しい業種が外されるなど実効性の点が問題として指摘される。  

5 実効性
非常事由により時間外業務が必要な時は、労働者は労働契約上の信義に従い誠実に労働する義務を負うから、その命令に服する義務がある。公務の場合は行政官庁の裁量によって発せられるものであり、応じるべきかどうかは公務員が国・地方自治体に負っている義務によって決まる。
 三六協定が締結され届け出られると、使用者は協定の定める範囲内で労働時間を延長し休日に労働させても、刑罰の適用を受けることはない。その反射的効果として、使用者は労働者との間で時間外労働を実施する「契約」を結ぶ自由を得る。言い換えれば、三六協定を締結し、届け出ただけでは、時間外労働を命令する権利は生まれない。
 この「契約」はいかなる形態で結ぶべきかに関しては、様々な見解が判例にも学説にもある。ある見解は就業規則又は労働協約で一般的に時間外労働を義務づける規定を置くことで足りるという。他の見解では、かえってそのような一般的義務づけは労基法の最低基準規定に違反して無効であり、時間外労働が必要なときにその都度、労働者との合意がなされなければならないとする。さらに、別の見解では就業規則自体に時間外が必要な業務、時期、労働者の範囲、期間の限度などが定められる必要があり、その場合に限って労働者は正当な理由無しにはその命令を拒否できないと主張する。
 しかし、現実には就業規則等が契約の内容となっている場合が多く、時間外は事業形態によって個別具体的に決まるものであることから、時間外はその都度合意がなされ、小さな「契約」が成立すると見れば法的な対応には十分であろう。 

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