法学 日本における法源としての慣習法

 日本における法源としての慣習法
1 成文法と不文法
 法源という言葉はいろいろな意味に用いられるが、一般には法を具体的に知ろうとする場合の手掛かり、つまり法の存在形式をいう。

 この法源は大きく分けて文章の形に表現される成文法と、表現されない不文法とに分けられる。成文法は法規ともいい、一定の手続きで定められた一定の形式を以て公布される法令で、制定法とも呼ばれる。

 不文法は歴史的には成文法より早く、その長短も成文法と表裏の関係にある。今日ではほとんどの国が成文法主義であるが、イギリスのように多数の成文法を持ちながら、なお成文法が不文法の補充的・従属的な存在に過ぎない国もある。


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2 慣習法の根拠
 慣習法は判例法と条理に並び不文法の一つに数えられ、社会生活の慣習を内容とする法源と言える。その特徴は、社会の慣行によって生まれた社会規範である慣習が、成文化されずに慣習の形でその国家社会から法として認められることである。

 慣習法の成立根拠については諸説あり、
(1) 慣行説・・・長期にわたって慣行してきた事実をもって根拠とするチーテルマン説。「慣習であるから正当である」とする
(2) 確信説・・・多数人が慣習を法と確信することをもって根拠とするサビニーの説。ある慣習を法と確信する心理状態になることを根拠とする
(3) 国家承認説・・・国家が慣習の内容を法と承認することをもって根拠とするラッソンの説。成文法は国家の立法によって積極的に創造され、慣習法は国家の承認により受動的に承認されるとする、などがある。

3 国家と慣習法
日本の慣習法の成立根拠は、上記の(3)国家承認説に近く、法例2条は「公の秩序または善良なる風俗に反せざる慣習は法令の規定に依りて認めたもの、および法令に規定無き事項に関するものに限り法律と同一の効力を有す」と定めており、国家がその慣習を法としての効力があると認めることを要件としている。

 したがって、慣習法は「事実たる慣習」とは異なる。事実たる慣習は、国家によって慣習法と認められた慣習以外の慣習を言うが、法源とは認められず当事者がこの慣習に従う意思のある場合にのみ、その効力が認められるものである。

 民法92条は「法令中の公の秩序に関せざる規定に異なりたる慣習がある場合において法律行為の当事者が之による意思を有せるものと認めるべきときはその慣習に従う」と定めて、当事者の意思解釈の標準としたり補完に用いるとしている。

これに対して慣習法は、法令に規定なき事項に関するものにかぎり、法律と同一の効力を定めるものである。したがって、原則として慣習法は成文法の補完的効力しか持たないものであるが、成文法に対する多少の変更的効力を示す規定が例外として、いくつか見られる。
(1) 商法1条「商事に関し本法の規定なきものに付いては商慣習を適用し商習慣なきときは民法を適用す」
(2) 民法217条「前2条(疎通工事権・予防工事請求権)の場合において費用の負担に付き別段の慣習あるときはその慣習に従う」 
(3) 民法268条の1「設定行為を以て地上権の存続期間を定めざりし場合において別段の慣習なきときは地上権者はいつでもその権利を放棄することを得る」
(4) 民法277条「前6条の規定(小作権者の土地使用権の制限、永小作権の譲渡・賃貸、賃貸借、減免、放棄、小作料の滞納)に異なりたる慣習あるときはその慣習にしたがう」
などがある。

 法令に規定なきものの例としては流水使用権があり、また場合によっては慣習法が成文法を実質的に改廃させることもあって、譲渡担保の制度や記名株式の譲渡における名義書換の白紙委任状付き譲渡および内縁夫婦間の権利義務が限られた範囲ながら判例で認められたことなどがその例である。

 法律は必要悪であって、必要最小限という側面がある。慣習法は、成文化されずに慣習の形でその国家社会から法として認められたものであって、社会の慣行によって生まれた社会規範が適切なら、それを適用しようとする姿勢を示すものといえます。

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Tracked: 2013-07-09 18:40