経済 自由市場主義-企業独占を防ぐことが現代経済の発展につながる

 自由市場主義-企業独占を防ぐことが現代経済の発展につながる
 1 市場メカニズム機能
 わが国の現代経済を支えているのは、企業である。企業は株式会社や小売店など様々な形態をとりながら、最終的には消費者へ商品とサービスを提供することにより、事業活動を行っている。
 これら企業は原則として、それぞれ任意に生産・販売など経済活動を行い、企業同士あるいは企業と消費者の間で毎日大量の取引を繰り返している。このときの取引が円滑に、かつ秩序立てて行われることが現代経済社会、とりわけ自由経済体制をとるわが国にとって重要と言える。
 一方、企業の生産・販売など経済活動の形態を決定するのは、企業と消費者の関係である。企業は利潤を得るために、特定の産業分野に資本を投入し、商品とサービスを供給する。消費者は、より良く安い商品・サービスを企業から購入しようとする。
 この企業と消費者の価格決定の流動的な場を市場といい、この市場が健全に保たれることにより、全体としてコストの低い企業が無駄なく資源を活用し、品質の良い安い価格の商品・サービスを提供する結果となり、経済社会を効率的に発展させることにつながる。こうした市場の機能を市場メカニズムという。


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 2 市場メカニズムと競争
  市場メカニズムが正常な機能を発揮するには、商品・サービスの価格が需要と供給の関係により、自由に決定されることが重要である。そのためには、企業が自己の責任で市場に参入し、市場では企業間の自由な競争が確保されている必要がある。
 しかしながら、現実の市場ではこのようなメカニズムを阻害する動きが生ずる。例えば、カルテルである。カルテルは企業が企業同士の過酷な競争を避けるために、共謀して価格・数量などを制限し、市場価格を操作する行為である。談合のような価格の同調的引き上げもカルテルの一形態といえる。 近年、貿易摩擦問題等で新たに注目される現象に、市場集中がある。日米間の貿易不均衡の原因としてダンピングや差別価格が挙げられ、その温床に日本市場の寡占状態が指摘される。市場集中とは、今日、鉄鋼や自動車、ビールなど主要な企業で少数の企業が市場を独占している状態をいう。
 市場の集中は、ひとつには近代技術の発達がスケールメリットを生み、大量生産によって良い品を安く供給することで経済的効果をもたらしたが、反面、少数の企業が市場の価格に大きく影響し、企業間の競争を阻害したり、カルテル・ダンピングなどの不公正行為をやり易くした。
 独占禁止法を中心とする独占禁止政策は、基本的にはカルテル・ダンピングなどの不公正行為や過度の市場集中により、企業間の自由な競争が阻害されることのないよう、市場メカニズムを健全に維持する働きを持つと言える。

 3 米国からの圧力による独占禁止法
 わが国の独占禁止法は、昭和22年に戦後の占領政策の一環として、経済民主化のために定められた。それまで金融・重工業などの重要産業は三井、三菱、住友、安田の四大財閥によって占められ、また、製鉄・製紙などにもカルテルが浸透していた。当時の日本は独占問題への関心が政府も国民も低かった。
 財閥解体や国家経済統制によるカルテル排除は、諸法により過渡的に進められたが、恒久的に定着するよう独占禁止法が制定されたといえる。
 その後、昭和24年に外国資本活用を目的に、同28年には不況脱出を理由に、規制を緩和する法改正がなされた。
 また、昭和52年に高度成長に伴う物価高騰を抑制するため、強化されて現在に至っている。
 独占禁止法の目的は第1条に詳しいが、要約すると「私的独占、不当な取引制限、不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中の防止、事業活動の不当な拘束の排除により、公正・自由な競争を促進し、国民経済の民主的な発達を促進する」となる。
 前段の「私的独占の禁止」、「不当な取引制限の禁止」、「不公正な取引方法の禁止」は基本となる3つの規制内容を示し、次の「事業支配力の過度の集中の防止」は独占的状態を避け企業分割を促進する措置を意味し、「事業活動の不当な拘束の排除」は公正取引委員会が行政措置をとり、市場の競争を回復させる旨を指すものである。

 4 公共の利益と公正な競争
  独占禁止法の最大の目的は、「公正・自由な競争の促進」により、究極的に「国民経済の民主的な発達を促進する」ことにある。
 「公正・自由な競争」を目的とすることは、わが国の経済を基本的に市場メカニズムに任せることを意味する。このメカニズムを有効に機能させるためには、市場における価格が需要と供給の関係だけで決定されることが必要である。そのためには、資本と技術力がある企業が自由競争に参入でき、消費者が良質でよい商品・サービスを間違いなく選択できる環境を整えることである。
 その結果、消費者の選択に漏れた企業は、当然に脱落し、企業間の競争が企業に自己責任を持たせることにつながった。
 究極の目的「国民経済の民主的な発達を促進する」は、第1条にあるとおり、一般の消費者の利益を確保することを意味する。この点については、国民経済全体の利益のために、生産者の利益を優先する場合もありえるとの解釈もあったが、判例は否定している。一般消費者の利益を最大目的とする考えから、具体的には不当取引制限における「公共の利益」の解釈、不公正な取引方法での「公正な競争の概念」が決定する。

 5 諸外国の格差
 海外で独占禁止法を有する国は、東西を問わず45カ国程度に上っている。戦後の世界的な自由通商政策が反映されたもので、いずれも国の経済を基本的に市場メカニズムで運営するという理念に基づく。なかでも、戦後の強い政治的・経済的リーダーシップによって、各国に浸透した米国の政策は特筆に値する。
 米国の独占禁止法はシャーマン法(1890年)、クレイトン法(1914年)、連邦取引委員会法(FTC法1914年)の3法とその改定による。
 法の目的は経済の効率性のみとする考えと、権力の分散及び公共性を含むとする考えがある。経済の景気との関係が強く、自国の不況時は経済の効率に重点を置くなど変動が見られる。 
 日本と比べると、特にカルテルに対しては、一貫して厳しく規制している。価格カルテル、談合、市場分割カルテル、共同ボイコットなどは即違法で重罪とし、刑事罰が科される。また、経済力集中規制として、独占力との存在とその乱用を禁止し、独占力の目安は市場シェア60%、乱用とは排他条件付き取引、差別価格、略奪的価格などがある。競争を減殺する合併、株式の取得、資産の取得は合併規制として、クレイトン法で禁止される。
 独占禁止法は各国によって、当然に形態・規制内容が異なる。企業活動が国際的になり、海外の企業活動が各国の国内市場へ影響を及ぼすようになると、それぞれの国の独占禁止法を海外企業にどこまで適用できるかという問題が出てくる。各国の経済協力体制のあり方とも関連し、今後の大きな課題である。

 6 独占禁止の社会的意義の高まり
 近年、日本が世界経済において占める地位が高まり、貿易黒字が大幅になるにつれて、国際的に批判される問題がある。外国企業の日本への参入が進まないことと、その原因に日本の取引慣行の不透明性、閉鎖性が挙げられることである。このため、独占禁止法を強化し、排他的取引慣行をなくすよう望む声が強い。
 公正取引委員会はこれに対処し、1.審査体制の強化充実 2.価格、入札談合、共同ボイコット等への厳正な防止 3.外国事業者からの相談及び苦情窓口の設置 4.違反行為に対する措置の公表及び警告の積極的公表 5.独占禁止法の改正による課徴金の引き上げ 6.刑事告発に関する公正取引委員会の方針表明 7.入札談合やボイコットなどに対する刑事罰の積極的活用 8.無過失損害賠償請求訴訟に対する積極的対応 などの点を明らかにするとともに、平成3、4年に課徴金と罰則を強化する改正を実施した。
 さらに、主要な産業の集団化・系列化によって、取引に外国企業が進出できないとする米国の指摘に対しては、平成3年に流通・取引慣行等に関するガイドラインを公表し、企業集団や事業所間取引の実態を明らかにしている。

 7 今後の独占禁止法の方向
 近年の公正取引委員会による独占禁止法の運用は、従来にはない積極的なものとなっている。これは、日米間の貿易摩擦に由来する独占禁止法強化の要請を契機とするだけでなく、日本経済を支える企業・国民の各層が経済社会全体の問題として、独占禁止政策の認識を深めていることに起因すると見てよいであろう。

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